in the wilderness

荒れ野にて言葉を探す。北へ。南へ。

bivouac

Sir VagabundoからCompañero Burroへの短い手紙

Dear my compañero ちっぽけな失望に接しては、乾いた土の匂いに慰めを求めているであろう君。たとえば進む一本の道が、あるところで二股に分かれていたとして、右を選ぶか。あるいは左を選ぶか。それがさも重大な選択であるかのように思う者もあるだろうし…

沈黙

水底に 沈み たゆたう 月 寡婦のヴェールの 漆黒の 沈黙

流れつき 暫し留まりて後 やがては消え去るものの その霞を そっと手で触れ

櫂を漕ぐ音

眠りとの境目で巡るもの 取留め無く 揺らぐ 不確かで 踵の浮かされたよに 地に着かぬもの 煉瓦の朽ちて尚 硬い温もりから離れずに 遠くで呟く夜更けの声色にも似た 安堵の音 夜更けの墨の匂いの 静寂 心の糸を仄暗い水面に垂れれば ゆるり 眠りを誘うよに 一…

小鳥を欠いていること

待ち望むでも無く 諦めるでも無い 気に留めた事柄は ひとつ手前に並んだまま 一日を すみやかに運んでしまった けれども 終わりの夜に独り 振り返る頃には ずるり 引き伸ばされてしまう 其処彼処に残された 今日の痕跡を知った後でも 私はそれを 拾い集めは…

独り

貝殻のよに口を閉ざし 岩のよに黙りこくり じっとして動かないで 誰の気にも留まらず 誰にも気付かれない 今日私が願ったのは きっとそんなもの 生かすでも無く 殺すでも無く 私を永く繋ぎとめて居るもの それが何なのか 知らない