2010-07-29 櫂を漕ぐ音 bivouac 眠りとの境目で巡るもの 取留め無く 揺らぐ 不確かで 踵の浮かされたよに 地に着かぬもの 煉瓦の朽ちて尚 硬い温もりから離れずに 遠くで呟く夜更けの声色にも似た 安堵の音 夜更けの墨の匂いの 静寂 心の糸を仄暗い水面に垂れれば ゆるり 眠りを誘うよに 一艘の舟が近付いて それが 櫂の水打つ 夜の音と知る 漕ぎ出した舟に 静かにうつ伏して 眠れ 眠れ 欠け溶けた 月の瞼に