2013-01-01から1年間の記事一覧
深夜の小さな街の十字路。その少し先、暗がりにぼんやりと浮かび上がったバスディーポの姿とサインは、旅人をほっとさせ、又、不安にもさせる。時刻表を印刷して貰う、手持ち無沙汰の間。無機質な機械音に重なる、くぐもった、行き先ごとのアナウンス。微か…
「Bって、寂しい奴なのよね。きっと」 彼女はそう云った。その夏に知り合った友人Bは、一つ歳上で、私に意地悪だった。十のうちの七くらいは。他の人(特に女性)には殆ど無差別にやさしかったが、私には素っ気無く、話し方はいつも意図的な謎かけみたいで、大…
わたしはロボの脇に肉と水を置いてやったが、ロボは見向きもせず、静かに腹ばいになって、あの落ち着いた黄色い目で、わたしの肩ごしに、谷の向こうの広々とした平原― 彼の王国を見つめていた。わたしが体にさわったが、びくりともしなかった。 ライオンが力…