in the wilderness

荒れ野にて言葉を探す。北へ。南へ。

2011-01-01から1年間の記事一覧

They are

Frank Zappa Ernest Hemingway James Dean Paul Newman Peter Cook Bette Davis Kurt Cobain Morrissey Marlon Brando

eyes hands women

Imogen Cunningham

暗がりに白い薄灯りのまわりを、ウスバカゲロウがよたよたと飛んでいる。 不気味な様が不安を誘う一方で、自らの意思で飛んでいるというより、 むしろ糸に吊られて動く死骸に見えるのは、どこか憐れでもある。 生きていながら、既にうっすらと死を纏った生き…

幸福な酩酊

窮屈に抱えた特別な記憶を、過日の膨大な瓦礫の中から探り出すとき。鈍い眠気のような酩酊がゆっくりと体内を巡り、やがてそれは、一枚の皮膚の下から粟立つように引き抜かれる感覚を伴って、ぞくりとした一瞬の震えへ取って変わる。どこか雨を仕舞った後の…

放心の隙間からするりとすべり込み、 こちらの迂闊を、ただ、もの言わず見ている。 湿った前髪が額へへばりつくのを、 煩わしさに幾程掻き寄せても、切りの無い重さ。

遠雷と遠雷の間を数えている。 凪ぎいでいた風が動き、雲が俄かにすべり出す。 雨が近い。

四角い光沢の中の肖像。 過去は過去のままに、留まる。 ― 見ること、観察すること、そして考えること。 ― August Sander

無花果

道の途中のと或る家に犬が居り、また、猫も居る。猫は知らぬが、犬の名はコロと云う。何故犬の名を知ったかと云えば、小屋の正面に、油性のマジックでその様に書いてあるからである。何の変わったところ無い。赤鼻の雑種で、黄色い毛をして居る。其処の家で…

筆致は饒舌を良しとせず。軽率な修辞に溺れず。 だからといって貧相な、ただの綴りとならぬように。

Un momento eterno

永遠を得た、白と黒の一瞬。 ― 白、それは虚無。黒、それは傷跡だ。 ― Mario Giacommelli

野生と静謐、或いは漂泊と定住。その間(あわい)の発見。

火の近くへ椅子を寄せ独り、真冬の夜に聴くフルニエ、バッハ無伴奏チェロ組曲。たった四本の弦のみの、深々と澄んだ息づかい。そのふくよかな深淵の静謐に沈むことは、見知らぬはずの物事が記憶の一部としてよみがえるよな、ひとつの心地良い錯覚に似ている…