2011-01-01から1年間の記事一覧
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Imogen Cunningham
暗がりに白い薄灯りのまわりを、ウスバカゲロウがよたよたと飛んでいる。 不気味な様が不安を誘う一方で、自らの意思で飛んでいるというより、 むしろ糸に吊られて動く死骸に見えるのは、どこか憐れでもある。 生きていながら、既にうっすらと死を纏った生き…
窮屈に抱えた特別な記憶を、過日の膨大な瓦礫の中から探り出すとき。鈍い眠気のような酩酊がゆっくりと体内を巡り、やがてそれは、一枚の皮膚の下から粟立つように引き抜かれる感覚を伴って、ぞくりとした一瞬の震えへ取って変わる。どこか雨を仕舞った後の…
放心の隙間からするりとすべり込み、 こちらの迂闊を、ただ、もの言わず見ている。 湿った前髪が額へへばりつくのを、 煩わしさに幾程掻き寄せても、切りの無い重さ。
遠雷と遠雷の間を数えている。 凪ぎいでいた風が動き、雲が俄かにすべり出す。 雨が近い。
四角い光沢の中の肖像。 過去は過去のままに、留まる。 ― 見ること、観察すること、そして考えること。 ― August Sander
道の途中のと或る家に犬が居り、また、猫も居る。猫は知らぬが、犬の名はコロと云う。何故犬の名を知ったかと云えば、小屋の正面に、油性のマジックでその様に書いてあるからである。何の変わったところ無い。赤鼻の雑種で、黄色い毛をして居る。其処の家で…
筆致は饒舌を良しとせず。軽率な修辞に溺れず。 だからといって貧相な、ただの綴りとならぬように。
永遠を得た、白と黒の一瞬。 ― 白、それは虚無。黒、それは傷跡だ。 ― Mario Giacommelli
火の近くへ椅子を寄せ独り、真冬の夜に聴くフルニエ、バッハ無伴奏チェロ組曲。たった四本の弦のみの、深々と澄んだ息づかい。そのふくよかな深淵の静謐に沈むことは、見知らぬはずの物事が記憶の一部としてよみがえるよな、ひとつの心地良い錯覚に似ている…