2009-12-20 感触 saltbox 朝の冷え冷えとした空気は、日が高くなってなお、変わらない。 乾いた寒空の向うの木立ち。目をつむって冬の表層を探る。 確かなものと、不確かなもの。 暫くして不意に、瞼の後ろへ浮かんだのは、 白い丸襟のブラウス、紺色のセーターを着た、鳶色の目の少年少女。 見知らぬ土地の本を抱えたあの子らは、何処から来て、そのまま何処へ ゆくのだろか。石畳の舗道に、小さな底の平たい靴音の響くのを、 ずっと遠くで聞いた気がして、けれど一体、何に想いを馳せたかったのか、 結局は、自分でも分からなくなってしまった。